基本はウールでOK。それぞれの繊維の特徴を押さえましょう
生地(繊維)※の違いは、スーツの用途や特徴の違いに直結します。
※本来、大本の原料を「繊維」、繊維から作られる素材を「生地」と呼びますが、
このページでは特に区別せず、ひとまとめに大まかな呼称として使います。
通常のスーツを購入する、または仕立てる場合には、
「ウール」中心の生地を選んでおけば間違いありません。
リクルートスーツなど、短期間でしか着ない場合は、
「ポリエステル」の入った生地も選択肢に入ります。
以下では、代表的な生地の繊維について説明します。
# | 素材 | 素材分類 | 強度 | 手入れの 容易さ |
主な特徴 |
1 | ウール | 天然素材 | 普通 | 普通 | ・冬は暖かく、織り方次第で夏も涼しい ・型崩れやシワが起こりにくい |
2 | カシミア | 天然素材 | 低い | 難しい | ・軽く伸縮性があり、肌触りも柔らかい ・ツヤと光沢に優れる |
3 | コットン | 天然素材 | 普通 | 普通 | ・柔らかく、肌触りに優れる ・水やアルカリに強い |
4 | ポリエステル | 合成素材 | 高い | 簡単 | ・強度に優れ、シワにもなりにくい ・安価 |
5 | ナイロン | 合成素材 | 高い | 簡単 | ・強度が非常に高く、特に摩擦に強い ・虫、カビ、油などに強い |
生地は、単独の繊維から作られる場合もあれば、(例:ウール100%)
複数の繊維を組み合わせて作られる場合もあります。
以下では、スーツを購入する際の参考になる様、
各繊維の特徴を説明します。
1) ウール(羊毛) – 天然繊維
〇メリット
・冬は暖かく、織り方次第で夏も涼しい
・吸湿、方湿性に優れる
・型崩れやシワが起こりにくい(=弾性が高い)
×デメリット
・スーツが水分を含む(雨に濡れる等)と、極端に吸湿、放湿性が悪くなる
・濡れると、繊維が縮小し質感が悪くなり、痛みの原因にもなる
・虫食いが起こりやすい
「繊維の王様」とも呼ばれる、スーツの生地に向いた天然繊維です。
欠点が少なく、最も一般的にスーツ素材として使われています。
単独の素材としてだけでなく、他の素材(シルクやポリエステル)と混ぜて使われる事も多いです。
2)カシミヤ – 天然繊維
〇メリット
・冬は特に暖かく、織り方次第で夏も比較的涼しい
・軽く伸縮性があり、肌触りも非常に柔らかい
・ツヤと光沢に優れる
×デメリット
・繊維が細いため摩擦に弱く、汚れも落ちにくい
・虫に食われやすい(ウール以上)
・高価
カシミア山羊から取れる、高級な天然繊維です。
ウールよりも細く、強度には劣る一方、美しい風合いとなります。
強度の関係で、スーツに用いる場合は他の繊維(ウールなど)と混ぜて使われる事が多いです。
3) コットン(綿) – 天然繊維
〇メリット
・柔らかく、肌触りに優れる
・水やアルカリに強い(家庭での洗濯も可能)
・吸湿、放湿性に優れる
×デメリット
・毛羽立ちやすい。
・色落ちが起こりやすい。
・シワになりやすい
織り方や仕上げ方の違いで、幅広い季節に対応可能で、汎用性が高い天然繊維です。
一方、カジュアルな印象が強くなるため、業種や職場によっては控えた方が無難です。
単独の素材と使われる以外にも、他の繊維(主にポリエステル)と混ぜて使用されます。
4) ポリエステル – 合成繊維
〇メリット
・強度に優れ、シワにもなりにくい
・速乾性に優れ、濡れても質感が落ちにくい
・安価
×デメリット
・光沢、高級感で劣りがち。また、テカりやすい。
・保湿性は低い
・静電気が起きやすい(特に冬)
代表的な合成繊維です。比較的安価で強度の高い生地が多いため、
就活やインターンなど「短期で頻繁に着る」スーツには適していると思います。
合成繊維であるポリエステルも、他の素材(ウールやコットン)と混ぜて使われる事が多いです。
5) ナイロン – 合成繊維
〇メリット
・強度が非常に高く、特に摩擦に強い
・柔らかく、生地に伸びがある
・虫、カビ、油などに強い
×デメリット
・日焼けによる劣化が速い
・保湿性は低い
・静電気が起きやすい(特に冬)
後発の合成繊維です。
スーツの生地としては、単独では使われるよりも、主にウール等と併せて使われます。
なお、「ナイロン」は米デュポン社の商標が一般化したものであり、
本来の合成戦としての名称は「ポリアミド」です。
天然繊維:動物、植物、鉱物を原料と知るう天然由来の繊維
合成繊維: 化学繊維の一種。石油や石炭からなる有機化合物が原料の繊維
他にも、天然繊維であれば「モヘア(アンゴラ山羊)」、「シルク(絹)」、「リネン」、
合成繊維であれば「ポリウレタン」などの繊維があります。
実際に試着してみて、色々な生地の違いを確かめてみて下さい。
購入の際には、店員や仕立て屋の方に、手入れの注意点を聞いておく事も大切です。